厚生労働省は、3月23日、2022年4月に実施される同省管轄下の主な制度変更についてまとめたウェブページを発表した。
主な制度改定は以下のとおり。
雇用保険制度の見直し
- 失業等給付に係る雇用保険料率について、年度前半(4月〜9月)を2/1,000、年度後半(10月〜2023年3月)を6/1,000とする。※労使折半
- 雇用保険二事業に係る雇用保険料率について、弾力条項の発動を停止し、3.5/1,000とする。
- 雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、雇用機会が不足する地域における給付日数の延長、教育訓練支援給付金の暫定措置を2024(令和6)年度まで継続するとともに、コロナ禍に対応した給付日数の延長の特例について、緊急事態措置の終了日の1年後までを対象とする。
育児休業制度等の個別の周知と意向確認、育児休業を取得しやすい雇用環境整備の義務付け(全事業主)
本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度や申し出先等に関する事項の周知と休業の取得意向確認を個別に行う必要がある。
育児休業等の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主に研修の実施や相談窓口の設置等複数のうちから1つの措置を講じることを義務付ける。
不妊治療と仕事との両立に係る認定制度の創設
2022年4月1日から、不妊治療と仕事との両立しやすい環境整備に取り組む事業主を認定する「くるみんプラス」制度が新設される。
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定等の義務企業拡大
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定・届出、情報公表等について、常時雇用する労働者数301人以上の事業主に義務付けられているところ、2022年4月1日より、101人以上300人以下の企業にも拡大される。
職場におけるパワーハラスメント防止措置の中小企業事業主への義務化(労働施策総合推進法)
2022年4月1日から、職場におけるパワーハラスメントを防止するために事業主が雇用管理上講ずべき措置を義務化する
<詳細:雇用・労働関係抜粋>
項目名 | 内容 | 主な対象者 | 担当部局名(問い合わせ先) | リンク |
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雇用保険制度の見直し ※1、2 |
(1)失業等給付に係る雇用保険料率については、年度前半(4月~9月)を2/1,000とし、年度後半(10月~令和5年3月)を6/1,000とする。※労使折半 (2)雇用保険二事業に係る雇用保険料率について、弾力条項の発動を停止し、3.5/1,000とする。※事業主のみ (3)雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、雇用機会が不足する地域における給付日数の延長、教育訓練支援給付金の暫定措置を令和6年度まで継続するとともに、コロナ禍に対応した給付日数の延長の特例について、緊急事態措置の終了日の1年後までを対象とする。 |
事業主及び労働者 | 職業安定局 雇用保険課 (内線) 5752 |
雇用保険法等の一部を改正する法律案について |
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定等の義務企業拡大 | 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定・届出、情報公表等が常時雇用する労働者数301人以上の事業主に義務付けられているところ、令和4年4月1日より、101人以上300人以下の企業にも拡大される。 | 常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の事業主 | 雇用環境・均等局 雇用機会均等課 (内線) 7843 |
女性活躍推進法特集ページ |
職場におけるパワーハラスメント防止措置の中小企業事業主への義務化(労働施策総合推進法) ※3 |
令和4年4月1日から、職場におけるパワーハラスメントを防止するために事業主が雇用管理上講ずべき措置を義務化する。 | 中小事業主 | 雇用環境・均等局 雇用機会均等課 (内線) 7842 |
職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント) |
新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の適用期間の延長 | 令和4年3月31日までとなっていた新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の適用期間を令和5年3月31日まで延長する。 | 妊娠中の女性労働者及び当該労働者を雇用する事業主 | 雇用環境・均等局 雇用機会均等課 (内線) 7842 |
女性労働者の母性健康管理等について |
不妊治療と仕事との両立に係る認定制度の創設 | 令和4年4月1日から、不妊治療と仕事との両立しやすい環境整備に取り組む事業主を認定する「くるみんプラス」制度を新設する。 | 事業主 | 雇用環境・均等局 雇用機会均等課 (内線) 7842 |
不妊治療と仕事との両立のために |
育児休業制度等の個別の周知と意向確認、育児休業を取得しやすい雇用環境整備の義務付け | ・本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度や申し出先等に関する事項の周知と休業の取得意向確認を個別に行う必要がある。 ・育児休業等の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主に研修の実施や相談窓口の設置等複数のうちから1つの措置を講じることを義務付ける。 |
全ての事業主 | 雇用環境・均等局 職業生活両立課 (内線) 7855 |
育児・介護休業法について |
有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和 | 有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者であること」という要件を廃止する。ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することを可能とする。 | 有期雇用労働者及び事業主 | 雇用環境・均等局 職業生活両立課 (内線) 7855 |
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労災保険の介護(補償)等給付額の改定 | 令和4年4月から、介護を要する程度の区分に応じ、以下の額とする。 ※()内は令和3年度の額 (1)常時介護を要する方 ・最高限度額:月額171,650円(171,650円(改定なし)) ・最低保障額:月額75,290円(73,090円) (2)随時介護を要する方 ・最高限度額:月額85,780円(85,780円(改定なし)) ・最低保障額:月額37,600円(36,500円) |
介護(補償)等給付の受給者 | 労働基準局 労災管理課 (内線) 5209 |
後日掲載 |
労災就学援護費の支給対象となる者の拡大 | 令和4年4月から、労災就学援護費の支給対象者として、下記の者を追加することとする。 ・公共職業能力開発施設に準ずる施設において実施する教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものとして厚生労働省労働基準局長が定めるものを受ける者 |
労災就学援護費の受給者 | 労働基準局 労災管理課 (内線) 5436 |
後日掲載 |
労災保険の特別加入制度の対象拡大 | 令和4年4月から、特別加入制度の対象として、下記の事業を追加することとする。 ・あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師が行う事業 |
追加業種において、雇用によらない形で働く方 | 労働基準局 労災管理課 (内線) 5203 |
後日掲載 |
同発表の詳細はこちらから。
以上
厚生労働省は、3月23日、法定の歯科健康診断の報告を事業場の人数にかかわらず義務化する省令案について、審議会への諮問で妥当だとの答申を受けたと発表。厚生労働省はこの答申を踏まえ、2022年10月1日の施行に向け、速やかに省令の改正作業を進める予定とのこと。
労働安全衛生法では、塩酸や硝酸など歯やその支持組織に有害な物のガスや蒸気、粉じんを発散する場所での業務は「有害な業務」であり、同法第66条第3項により、事業者側はそれらの業務に従事する従業員に対し、⻭科医師による健康診断を実施しなければならないと規定されている。
現在の労働安全衛生規則第52条では、常時50人以上の事業場に対してのみ、定期健康診断結果報告書の提出義務がある。しかし2020年度に一部地域で実施された自主点検によると、50人未満の事業場において、歯科健康診断の実施率が非常に低いことが判明した。
特定化学物質障害予防規則や有機溶剤中毒予防規則等において規定されている健康診断においては、事業場の人数にかかわらず全事業者に対し、健康診断の実施についての報告義務が課されている。そこで実施率の向上などを図るため、有害業務従事者への歯科健康診断についても同様に、全事業者に対し実施報告が義務づけられることになった。
詳細は以下諮問文、答申文、概要からご確認ください。
【別添1】諮問文.pdf (0.08MB)
【別添2】答申文.pdf (0.08MB)
【別添3】労働安全衛生規則の一部を改正する省令案概要.pdf (0.84MB)
以上
「ウクライナ侵攻後に不正メール受信が増えた」直近1か月で28%の企業にサイバー攻撃(帝国データバンク調査)
帝国データバンク(東京都港区)は、3月15日、サイバー攻撃に対する実態について行ったアンケート結果において、1か月以内にサイバー攻撃を受けていた企業は、調査対象1,547社のうち28.4%に上ったと発表。同報告によると、ウクライナ情勢の緊迫化に関連付いてサイバー攻撃が増えたと考える企業が出てきているとのこと。
回答によれば、「不正メール受信が特にウクライナ侵攻後に多くなった。間違って開いてしまった者がいて、社内の全パソコンのアップデート処理を連日行った」(樹脂加工機械等製造、兵庫県)など、特にウクライナ情勢が緊迫化して以降に不審ななりすましメールが増加したとみている企業も多かった。
ほか、なりすましメールを顧客に送信した、顧客情報が流出した、不正サイトへ誘導されたなど、下記のような具体的な被害が報告されている。
◆「セキュリティソフトを導入しているが、自社を名乗るなりすましメールが10数件客先へ行ってしまった。そのためお客さまよりおしかりを受けた」(左官工事、千葉県)
◆「不正メール受信によるウイルス感染し顧客情報が流出。顧客あてに不審メールが届いた」(時計・同部分品製造、富山)「大手ECサイトや銀行、運送会社などを装った誘導メールや取引先を装ったスパムが届く」(浄化槽清掃保守点検、大阪府)
などといった声が上がっているとのこと。
直近1か月に関わらず、これまでにサイバー攻撃を受けたことがあると答えた企業の割合は46.1%で、「全く受けたことがない」と回答した企業の数(41.6%)を上回った。
サイバー攻撃を1か月以内に受けた企業のうち、大企業が33.7%、中小企業が27.2%、企業規模により被害数の差が出ているが、現在猛威をふるうEmotetの攻撃を受けた大企業の取引先から不審メールが送られてきた事例も挙がっており、帝国データバンクでは「セキュリティーシステムが堅牢な大企業よりも中小企業が狙われやすい!、中小企業を経由して大企業の情報を窃取する事案も多く、企業規模が小さくても狙われる危険性は大いに存在する」と警告している。
以上