日記

2021-12-02 03:02:00

【日記】今更ですが、「安全第一」とは?

 企業は「営利」を目的とした集団です。なので、利益を追求するのは本来の姿であり、僕もそこに異論はありません。そのうえで、大事なのは「利益の稼ぎ方」ではないかと思います。

 有名な標語で「安全第一」という言葉があります。この言葉、実はこれだけれはその真意が伝わりにくい言葉です。というか誤解している人が多い言葉でもあります。本当は続きがあるのです。

 

 かつて、米国のUSスチール社では「生産第一、品質第二、安全第三」という経営方針を社長室に掲げ、これを日々自分に言い聞かせていました。しかし、1900年初期、不況の米国では労働力不足も深刻化し、劣悪危険な鉄鋼ラインの作業現場で決して少なくはない労働災害・休業災害も発生していました。敬虔なクリスチャンでもあったエルバート.H.ゲーリー社長は「同じ神の子である人たちがこんな悲惨な災害を被り、不幸に合っているのは見るに堪えない」と人道的見地から「安全第一、品質第二、生産第三」と経営方針を変えたところ、労働災害が減少し結果休業者も減り、安定した生産活動を継続できるようになりました。それは結果として「安定した品質の確保」にもつながり、第二次世界大戦時の労働者不足にもかかわらず、災害もなく、生産性も高く、かつ品質も優れていたため「safety-First」は全米を一世風靡しました。

 そうです。「安全第一」は作業員に注意喚起を求めるものではなく、経営者が常日頃から肝に銘じなければいけない「経営方針」であり「トップの経営姿勢」なのです。残念ながら、今日では本来の「人道主義的経営方針」としての言葉ではなく、現場の作業者の注意力に安全を求める言葉として、誤用されることが少なくないと感じています。

 

 労働力不足が深刻化し、かつ高齢化が進んでいる現代、掛け声倒れの「安全第一」にしないためにも、企業の生産性を安定して高めるためにも、この言葉「安全第一、品質第二、生産第三」の真意は、今一度一考すべきものがあると考えます。